夏美のホタル 森沢明夫

今年11冊目の本は「夏美のホタル」森沢明夫さんを、チョイスしてみました。

 

前回「エミリの小さな包丁」を読んで、モヤっとする部分もあるものの、比較的楽しめたので、今回は「夏美のホタル」を読んでみる事にしました。

 

「エミリの小さな包丁」を読んだ時も思ったのですが、最初の1行目から印象的な文章を書く人だなぁという印象は、今回も変わらずでした。

 

プロローグとエピローグは榊山雲月という仏師の視点書かれているんですが、彼はこの物語の主人公ではないです。

 

この物語の主人公は写真家志望の大学生の慎吾とその彼女夏美(幼稚園教諭)。

 

周りの同級生達に、後れを取っている慎吾(それもかなりの)。

 

状況的には切羽詰まっているような状況のはずなのに、第一章は大学最後の夏休みを、川遊びや花火などしてエンジョイしている、ただの大学生でした。

 

楽しんで遊んでいる場面ばかり描かれていて、第一章を読み終わった時の感想は、「なんか思っていたのと違った」という感想でした。

 

写真家を目指す者の苦悩とか、そこからどう抜け出していくのかとか、もっと書かれているのかと思ったら、凄くあっさりしていた。

 

そもそも【そういう】ものを書きたかったワケでも、書いているワケでもないし、この作者が描きたかったのは、人との出会いと別れ、人との絆、繋がりとかそういうものだったのだなと、読んでいて途中で気付くという・・・

 

だから思っていたのと違うなってなってしまったのです(私の場合は)

 

所々、モヤモヤする。

 

第4章では、緊急事態に陥った時に、夏美が自分の愛車のバイクHONDA CBX400F(父親からもらったバイク)に、80過ぎのおばあさんを強引に説得して乗せるん描写があるんだけど、現実的じゃないし、興が醒めるというか。

 

無理やりドラマティックな展開にしなくても、よかったのになって思ってしまいました。

 

バイクに詳しくない私は、HONDA CBX400Fを画像検索して見ましたが、「いやいやいやいや・・・ないでしょ」となりました(汗)

 

あと第6章って必要だったのかな?って。

 

慎吾にも夏美にも「ん?」って思うようなところが、所々出てきて興が醒める感じ。

 

ちょっと目頭が熱くなるような展開もあるけど・・・

 

仏師の雲月が主人公の方が、まだ楽しく読めたのかもしれない(個人的には)

 

あとがきの最初の一行目が「この物語はフィクションです」で、はじまるのですが、私はこの本を読んでいて、モヤモヤする部分も結構あったので、この言葉がどうしても言い訳のような言葉に聞こえてしまいました。

 

私が読みたいと思っていたものと、作者が書いたものにずれがあったので、単純に自分が選ぶ本を間違えただけなんだけど(滝汗)

 

慎吾はそれまで、どんなコンテストに応募してもかすりもしなかったのに、たったひと夏の経験と出会いがそこまで⁉と・・・

 

周りの同級生達には、かなりの後れを取っていたはずの慎吾なのに。

 

あとがきの「この物語はフィクションです」が全てか・・・

 

なんだか勿体ないの一言に尽きると、個人的には思いました。

 

ちなみに「エミリの小さな包丁」に出てくる、おじいちゃんが作っていた風鈴が、この作品には出てくるのだけど、「エミリの小さな包丁」を先に読んでいた私は、少しニヤリとしてしまったのでした。

 

あと、この作者は「刹那」という言葉を凄く使う。

 

「エミリの小さな包丁」にも、この「刹那」という言葉がかなり出てくる。

 

数えてみても良かったかもと思うくらい出てくる。

 

「夏美のホタル」では、そこまでではないんだけど、ただ「刹那」って便利な言葉だなって思ってしまった。

 

ちょっと気になってしまったんです。読んでいて。

 

もう次読む本は決まっているので、今日からまた新しい作品を読みます。

 

ちなみにこの作品も映画化されていたようです。

知らないで読んでいました。

 

更新日:2023/3/6  最終更新日:2023/12/23

 

 

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